いくつかの国で真性包茎の子供に行なわれる「割礼」とは
「割礼」を行う目的と実施している国
「割礼」とは男性器の包皮の先端を切除することで、子供のうちに行われるのが一般的です。包茎手術と同じですが医療行為というよりも宗教的な意味合いが強く、旧約聖書ではアブラハムと神との永遠の契約として、男の子供が生まれてから8日目に割礼を行うべきことが記述されています。
子供の男性器は真性包茎の状態であることが正常ですが、思春期までに包皮をむくクセをつけないと真性包茎のまま成長してしまいます。大人で真性包茎と診断された場合は手術が必要で、安定するまでに2ヶ月程度かかることから子供のうちに割礼を行ってしまうことはそのリスクを回避するとも言えます。
現在でも割礼を行っている国は、アジアではフィリピンやマレーシアなど5か国前後、アラブ地域ではイスラエルを始めとして20か国以上もあり、他にもアフリカやアメリカ、オセアニア地域など、主にイスラム教やユダヤ教を信仰している国々に多くなっています。
日本における割礼の現状
イスラム教やユダヤ教を信仰する人がほとんどいないため、日本において割礼は浸透せずに現在に至ります。しかし、宗教的儀式としてではなく、子供のうちの包茎手術は将来的な真性包茎をリスクを軽減する意味合いから決して無意味ではありません。
真性包茎は見た目ももちろんですが衛生面で非常に問題があり、常に湿った状態になっていることから包皮亀頭炎症を引き起こすことがあります。また、性感染症にかかるリスクも高くなるため、大人になって真性包茎の手術を受けるなら早い段階で、と子供の手術を希望する親も多くなっているのが現状で、実際に「割礼」という表現を診療科目にしているクリニックもあります。
手術は男性器の局所麻酔で行われ包皮の先端を切除しますが、子供の場合は大人に比べて麻酔が切れた後も痛みを感じることは少ないようです。ただし、乳幼児は異常を自分で伝えることができませんので、様子に異常があれば早めに医師に相談することが大切です。
まとめ
現在でも割礼をしている国は「儀式」として行っていることが多く、「医療上の理由」で行う国は少なくなっている傾向にあります。確かに真性包茎のリスクは軽減されますが、成長と共に自然と包皮は根元に向かって下がっていくことや、子供のうちから包皮をむくクセをつけて垢を洗い流すことで清潔を保つことは可能です。
割礼にはメリットもありますが、自然に大人の男性器になる可能性を親が絶ってしまうことにもなるため、行う意味をしっかり把握することが大切です。